上映会:龍郷のアラセ - ショッチョガマ・平瀬マンカイ

龍郷村(たつごう) 秋名(あきな)は三方が山に囲まれ、一方が入り江になっていて、その間は広い田が袋状に拓けている。ショッチョガマはその田袋が見渡せる山の中腹に建てられる。アラセツと呼ぶ節の折目の行事(旧暦の8月、初ヒノエの日)に備えて一ヶ月も前から男たちは山に入り材料となる木やススキなどをとってくる。アラセツを前にした日曜日、朝早くからホラ貝の合図で村の男たちが集まってくる。ショッチョガマは山の中腹に建てられる小屋である。中心となる柱(スダチバシラ)二本は、15才になって青年の仲間入りをした家の山から伐り出したものだった。現在は村の山から運び出してくる。小屋は片流れの屋根でススキを葺く。スダチ柱の前に竹で編んだシルを二本たて、屋根の両端に俵に見たてたものをおき、ボウと呼ぶ葦のような草をねかせ、張りだしておく。稲の穂が重く吊れている様をあらわしている。

アラセツの前の晩から、太鼓(チヂャ)に合わせて八月踊りが行われる。八月踊りは、村の全ての家をまわって踊りあかす。アラセツの日の明け方、八月踊りで祝福してまわった人々は、ショッチョガマに集まり、屋根に登る。(男のみ)ショッチョガマの上でうたをうたい、屋根をゆらす。丁度日の出の頃、うたも最高調に達し、足をふんばり一気にゆり倒す。稲が畦を枕に倒れるさまをあらわしているのだという。

同じ日の午後3時頃、秋名の浜の聖なる神平瀬にノロカナシ(女の神人)が5人集まり、向かい合った女童平瀬にグジ(男の神役)と数人の地神さんたちがのる。荘重な歌がかけ合いで神平瀬と女童平瀬の間を往き来する。そして両手をかかげてまねき合いをする。これがマンカイ(まねき合い)であり、稲の精霊(イナダマカナシ)を呼び寄せて豊作祈願をする。

ショッチョガマは、山の、男の豊作祈願であり、平瀬マンカイは、海の、女の豊作祈願である。このアラセツの2つのまつりは、稲霊さまを迎える異なった方法で、きちんと分けられていることに、大きな興味をひきつけられる。
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