上映会:からむしと麻

『魏志倭人伝』に苧麻(ちょま)の名で記されている、衣料材料のカラムシ。同じように古くから利用されてきた麻。第二次大戦後、それらは急速に日本中から消えていった。福島県西部の山間地に位置する昭和村は、沖縄県宮古島とともにただ2カ所のカラムシの生産地である。そして数少ない麻の生産地のひとつでもある。

カラムシは、イラクサ科の多年草であり、根の植え替えを5~6年に一度する。5月、太い直根から出る側根を切り、移し植える。2年目以降の畑では、小満(こまん・立夏の半月後・5月20日頃)にカノ(焼畑)をする。芽の成育をそろえ、害虫の卵を焼くためである。次に、畑の周りを茅の垣根で囲い、風で茎がふれあって、傷がつくのを防ぐ。7月下旬、2mほどに成長したカラムシを刈り取る。その日に苧(お)引きできる量だけを刈る。苧引きとは、剝いだ表皮を苧引板にのせてヒキゴとよぶ刃物で肉質部をそぎ、繊維をとることをいう。とれた繊維は家の中で干される。

麻は、クワ科の一年草。5月に種を播いて、8月下旬に刈り取る。刈り取り後、天日で乾燥する。彼岸頃にオツケ場で4日間水に漬けて柔らかくし、表皮を剝ぎ、さらに水に漬けてから苧引きをし干される。この後、米糠の汁で煮て手でもみ、床に叩きつけていく。ここまでの作業が、カラムシと麻では異なる。

冬、糸を作り、布を織る。まず苧うみ。繊維を爪で細くさき、唾でしめらせながら長くつないでいく。これに糸車で縒りをかけ、糸にする。次に糸ノベ。1反分の長さの経糸を必要な本数だけ数えとる。経糸をオサに通し、機にかけて織る。機は地機である。

昭和村の人は、カラムシには「キラがある」と言う。きらめきの意味で、光沢のことをいう。透けるほど繊細に織られる新潟県の越後上布の材料はこのカラムシで、昭和村はその供給地であった。
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